議事録
2007年09月25日(火)  [議事録]

議長の許可を得ましたので、私は、日本共産党市会議員団を代表し、「長尾市長に対する不信任決議案」に反対の討論を行います。

 

保守の方からも異口同音に「道理なし」の声

先日、不信任決議について、保守の陣営に身を置かれている有力な方、数名の方とお話をする機会がありました。その方たちは、異口同音に、「長尾さ んに意見はあるが、不信任をすることには賛成できない。予算に賛成しているし、辞めなくてはならない理由はない。失政はない。不信任決議には道理がな い。」とおっしゃっていました。
私は、ここには、市民が直接、選挙で選んだ市長と、議員の関係について、民主主義に立った節度ある考え方というものを感じました。
政治的立場は違った方の意見ですが、私は、本来、議会と長の関係は、こうあるべきだと、思いました。

ところが、本議会に提出された不信任決議案には、こうした見識は一切見られません。むしろ、このような理由で市民が選んだ市長を辞めさせることが良いのか、というもので、疑問と怒りで一杯であります。

不祥事も失政もない長尾市長に不信任

第一に、不信任決議というものは、不祥事や行政上の課題について、任せられないほどの失政があったとき行われるものであります。だから、 実際に行われた不信任決議は、汚職事件で書類送検された岐阜県知事や、公職選挙法違反で書類送検された奈良市長、談合事件で逮捕された宮崎県知事への不信 任決議などとなっているのであります。
ところが、東大阪市では、市長に関係する不祥事は一切ありません。
また、東大阪市政の直面する課題で、長尾市長が責任を問われるようなことは一切ありません。当然のことですが、提出されている決議案にそうした具体的な指摘はありません。ただただ、自党の独自の主義・主張からの批判が述べられているだけであります。
私は、この一点だけでも、自民党、公明党、リベラルの一部が提出した不信任決議の道理の無さは明らかだと、強調するものであります。

ムダづかいなくし公正な市政に舵を切った一年

さらに、私は、長尾市長就任後の一年を振り返ってみると、不信任どころか、これまでのムダづかいと、「部落解放同盟」言いなりの市政から、公正な市政に大きく舵を切ったことがハッキリと見える、と指摘したいと思います。

例えば、ムダづかいとの批判のあった24億円の上下水道庁舎建設計画は、市民アンケートと意見募集にもとづいて中止をしました。
「同和行政は終結します」との公約に従い、同和関係予算の削減や職員削減を開始しました。
「くらしを応援するあたたかい東大阪に」との公約にもとづき、介護保険料の減免制度を大阪府内でトップクラスの水準に引き上げ、若者の雇用実態調査も始めました。
そして、乳幼児医療費助成制度も小学校に入るまで改善させる方向を打ち出しています。
また、中学校給食や空調設備、あるいは、少人数学級などの公約についても、長尾市長は、道筋をつけていく、と議会で繰り返し答弁しています。
こうして、長尾市長は、公約にもとづいて一歩一歩、前進させており、「実現不可能な多くの公約を掲げて当選したが、・・・市民の期待をことごとく裏切ろ うとしている」との決議案の言い分は、事実をゆがめたものであります。まさに、道理も大義もない「不信任決議案」であります。

自民党内から「不信任の大義名分なし」の声

従って、この間、不信任決議をめぐる議論が行われてきた自民党の中にも、「『不信任の大義名分がない』などの慎重論もあった」との新聞報 道がされているのであります。私は、自民党の中から出てきている、この慎重論は、「正論」だと思います。それだけに、自民党などが、今からでも、その「正 論」に立ち返って、不信任案を撤回するよう主張するものです。

予算に賛成しながら不信任は筋通らず

第二に、公明党や自民党は、長尾市長が提案した予算を可決成立させています。予算は、政治家・長尾淳三市長の基本が具体化されたもので す。それに賛成をしておきながら、「議会との信頼関係を一方的に破棄」などと言って、不信任決議を提出するなどということは、まともな政治家のやることで はありません。この点からも「不信任決議案」には反対であります。

 

清水市長の辞職勧告に反対しながら不信任の支離滅裂

第三に、かつて自民党や公明党は、清水市長の側近の幹部職員が有罪判決を受けたやみ献金事件などが発覚した際、辞職勧告決議に反対をしています。また、談合事件で逮捕された枚方市長に対しても不信任決議は出していません。
ところが、何ら、失政も、不祥事もない長尾市長には、不信任を決議するというのです。支離滅裂の極みであります。

地方自治の仕組みと議会の使命を解説したものと全国的に議員が踏まえるべきモデルとされている全国町村議会議長会編集の「議員必携」という本には、次のような記述があります。

政治的抗争の手段として乱用はあってはならない

不信任という「権限の行使にあたっては、特に慎重でなければならない。いやしくも感情に走って政治的抗争の手段としてこれを乱用するよう なことがあっては、行政の停滞を来たし、結局は、ともに代表する住民の損失、行政のマイナスとなることに十分留意しなければならない」
議会人として、こうした当たり前の指摘を真摯に受け止め、筋の通らない不信任決議は、取り下げるよう、重ねて主張しておきます。

市長選挙費用は1億2000万円

「議員必携」が指摘するように本市においても、市長不信任ということになると、行政の停滞というだけでなく、今後、「市長選挙」が課題に なってきますが、その費用は、1億2千万円もかかると言われています。簡単に1億2千万円と言いますが、財政困難な本市にとっては大変な金額です。
実は、私どもは、先日、市民のみなさんの意見をお聞きするアンケートを行いましたが、そこには、切実な要求がビッシリ書き込まれて返ってきています。

市民の切実な願いの実現こそ今大事

「65歳になると介護保険料が高くなり困ります。収入もなくなり、モノは高くなる。生きていても、あまり楽しくないです。」
「子どもが二人目生まれましたが、保育所の入所が難しく、一時保育サービスを受けるつもりですが、料金が高く、働いてもマイナスです。補助金などを考えてください」

こうした返事を読むにつけ、道理のない不信任決議で、本来、行わなくてもよい選挙に1億2千万円も使うのが本当に良いのか、大変、疑問であり ます。実際、高齢者・障害者のデイサービスの食事代助成の必要額は、1500万円。保育所の完全給食に必要な金額は、8100万円であります。
こうした点からも、不信任には反対であります。

市民の声を生かしている長尾市政

「東大阪市政を共産党一党のもとに私物化した」との非難は、全くの誹謗中傷と言わねばなりません。
長尾市長は、昨年の就任以来、市民の声を生かして市民のための仕事をすすめる姿勢を貫いています。事実にもとづいて発言をすべきであります。

以上、自民党、公明党、リベラルの一部議員が提出した道理も大義もない「不信任決議」に反対の討論を行ってきましたが、最後に、先ほどの市民アンケートでの「意見」を紹介します。

長尾市長さんは東大阪市民が選挙で投票し多数の市民から選ばれた方です。
「市」のお仕事は市民のためにするものです。
どの党の市長さんであれ、お仕事を妨害したり、「議会だより」に抽象的なことを載せるのはいけないと私は思います。建設的な市民のためのお仕事をしてください。

長尾市政の継続・発展に全力あげる

日本共産党は、この期待にこたえ、大義名分もない不信任決議に断固とした抗議をするとともに、くらしを守るという地方自治体本来の役割であ る「市民のための仕事」をしている長尾市政を必ず継続、発展させるため、全力をあげる決意を表明し、討論とします。ご清聴ありがとうございました。