市議団ニュース
2016年09月01日(木)  [市議団ニュース]

平成28年第2回定例会 6月24日(金)本会議での日本共産党 内海公仁 団長の「各議案に対する討論」の主な概要です。

■第一の問題、市立総合病院の独立行政法人化のための関連議案について

市立総合病院は、数年来、病床利用率の低下、医師退職などの影響による一部診療科の診療停止、病棟閉鎖などが続くなか、平成24年5月、地方公営企業法全部適用へ移行しました。病院事業管理者を置き、独自性を発揮して人材確保、変化する医療環境への柔軟な対応が可能となると説明されてきました。
ところが、全部適用後も、病院経営は改善の方向が明確になっていない中、平成27年3月、病院当局から独立行政法人化の方針が出された。地方公営企業法全部適用後の病院事業のあり方について十分な検証、総括が示されないまま、独立行政法人へすすもうとするものです。しかも、中河内救命救急センターの指定管理の受託も同時にすすめようとしています。
しかし、これは、たいへん危険な運営的、財政的リスクを伴うものであり、加えて市民の財産であり、市民が作り上げてきた市立総合病院を民間企業化させ、議会の監視の外に置いて、市民の意見を反映できない仕組みにして、市民から離れた医療機関にしてしまう。
この間、国が強行してきた急性期医療の総量制限や患者負担の強化などの医療制度改革のもとで、自治体病院の経営そのものが困難を押しつけられ、独立行政法人化の道がひとつの選択肢にならざるを得ない状況は一定の理解はできるものですが、今回の独法化の選択は、現状の病院事業の難局回避のため、独立行政法人に逃げ込もうとする安易な対応でしかないという危惧を持たざるを得ない。
このような状況の下での独立行政法人への移行は、たいへん危険なものであり、わが党は、時期と対応をじっくり見極めるべきであると言う立場から、今議会に示された、議案について反対。

■第二の問題は、公立の就学前教育・保育の再編整備計画に関連して

保育園入所を希望しても入所できなかった子どもの数は、今年5月段階で362名です。さらに、保育所に入ることが出来たら、すぐにでも働きたいと思っているお父さん、お母さんはさらにたくさん存在しています。このような状況は長年続いている事実です。子育て中の若い世帯にとって、こんなに不安なことはありません。
それなのに、公立保育所・幼稚園を統廃合して、自宅や、職場から遠く離れた所に子どもを送り迎えする事になる市の現在の公立施設の再編整備計画は、子育て世代と東大阪の将来にとって矛盾しているものです。今からでも見直しするべきです。
しかも、現在進行している市の計画は、
①通園区域が大幅に拡大されるのに、通園上の危険と負担について対策がとられて いない。
②就学前の質の高い教育・保育を提供すると言いながら、実際には保育と就学前教 育の内容の違いにどう対応するのか、就学前教育を希望し入園したこどもと保育 を必要とするこどもの集団のあり方、カリキュラムなどもあいまいなまま。
③これまで公立園を希望し選択してきた市民にとって、保育・教育の内容と質の大 幅な変更であり、契約を無視するものである。
④設置される認定こども園の施設規模は、縄手南が176名、小阪が196名、幼稚園 型で設置される北宮幼稚園は、定数235名という大規模なものであり、狭隘な施 設となります。
また現在、新園舎整備のために、縄手南幼稚園は、縄手南小学校の校舎施設の一部を仮設園舎として利用しています。ところが、1階に職員室、保健室、トイレ。2階に4歳児の保育室、3階に5歳児の保育室が置かれています。ところが学校教育法幼稚園設置基準では、保育室は原則1階に設置、特別の事情がある場合例外的に2階に保育室が認められるだけであり、3階での保育室は想定されていません。
委員会の審査の中で、わが党の指摘に対して「学校教育法」にしめされた設置基準に違反していることを、教育委員会は認めました。それ自体が異常な行政事務と言わなければなりません。
しかも、この建物の2階及び3階にはトイレがありません。子どもたちは心細い思いをしながら1階のトイレに駆け込むというような日常生活を送っています。いくら一年ほどの仮設園舎といえ、教育委員会の対応はあまりにもお粗末です。その責任が問われます。必要な改善を強く要求します。

■第三の問題、ラグビーW杯にかかる花園ラクビー場関連の補正予算及びラグビー場の土地取得の二年目の財産取得の件について反対

ラグビーW杯に関連する事業について、わが党は、ムダづかいにならないようにすること、現下の厳しい市財政状況も考慮して身の丈に合った事業費にする。また、全体計画や財政状況も含めて市民の前にすべて明らかにして、市民合意でラグビーW杯大会成功に結びつけるべきであることを一貫して主張してきました。
ところが、東大阪市は、事業費を膨らますことを繰り返しているのが実態です。
もともと購入予定などなかったラクビー場の底地を昨年3月、45億円、5年分割で購入する事を決めました。今回の財産取得の議案は、土地購入の2年目です。本来、ラグビー場を近鉄所有のままW杯を迎えることは可能だったはずです。
しかも、近鉄から建物を現状のまま無償で譲り受けた結果、改修費用は膨大なものになりました。
昨年3月議会で可決された改修・整備の設計費は、1億3,800万円。予定工事額は41億円あまり、これも当初想定されていた36億から見て5億円増になりました。この設計委託業務 は、本来2016年3月末までに完了し、成果品が示されるはずのものでした。
先の3月議会で、わが党は、「この設計委託は、その後ラグビーW杯日本大会、運営主体の意見をうけて内容に変更があるのではないか。それがために年度をまたいで繰り越しすることになるのであれば、繰越明許費の議案として3月議会に提出すべきものである。」とくり返し指摘しましたが、当局は、「3月末まで、完成できるよう最大限努める」とくり返すばかりでした。ところが3月31日に市長は、繰り越しすることを専決処分したのが、報告議案第4号の内容です。
4月に、W杯日本大会統括責任者が花園を視察し、新たな整備課題が指摘されたという事を理由に、今回、設計委託料6,200万円を追加補正しようとする補正予算です。その結果、工事費概算は、新たに約30億円。実に総額71億円となることを市長は認めました。
さらに、ラグビー場整備基本構想で言われている「ラグビー西の拠点」という観点を加味することになれば、第二グラウンドその他の周辺整備も追加されかねないものであります。
東大阪市は昨年、今後10年間の財政収支展望において、毎年連続して平均18億円もの収入不足が生じることを示しながら、初年度から財政調整基金をほとんど使い切る予算構成になっているなど、深刻な市財政状況の下で、公共施設再編整備や上下水道庁舎建設など大型公共事業のあり方を根本から問い直す必要があります。

■東大阪の20年、50年先をどのように迎えるのか、今、真剣な議論と判断が求められる

公立施設を大幅に削減しようとする保育・子育て施策や、内容も手法もあいまいで、個人の成長・発達をひとくくりにしてしまう恐れを持った小中一貫教育の強行。
旭町庁舎という価値ある建築物を安易に解体し、民間に権利を渡してしまう公共施設再編整備計画の強行。財政状況も顧みないで突き進む、花園ラグビー場関連の公共事業や、大型プロジェクトなど、野田市長の現在の市政の舵取りは、今後のまちづくりにとって大きな禍根になるであろう事を、たいへん憂慮しています。
東大阪の20年、50年先をどのように迎えるのか、今、真剣な議論と判断が求められます。市民のために、政治家はいまこそ、謙虚であるべき事を申し添えて、討論とします。