市議団ニュース
2016年10月11日(火)  [市議団ニュース]

10月1日 市民の財産「東大阪市立総合病院」がなくなり
「地方独立行政法人市立東大阪医療センター」に移行
日本共産党は、採算性重視の「地方独立行政法人化」には反対!

東大阪市から市民の財産「東大阪市立総合病院」がなくなり「地方独立行政法人」へ移行
東大阪市議会 第3回定例会が始まりました。市議会閉会中の間も東大阪市立総合病院(以下、総合病院と記載)の地方独立行政法人化(以下、独法化と記載)問題。また、マスコミで報道され大問題になっている、元総合病院職員による1億5,000万円に及ぶ公金着服事件についても、所管の環境経済委員会で審議をおこなってきました。しかし、今議会の審議を経て、10月1日(土)市民の財産である「東大阪市立総合病院」がなくなり、 自治体直営から切り離し、「法人」にし採算性重視の独立採算で運営される「地方独立行政法人市立東大阪医療センター」に移行しました。

総合病院の元職員による1億5,000万円に及ぶ公金着服事件 ― 元職員は詐欺の容疑で逮捕 ―
8月24日 総合病院の元職員による1億5,000万円に及ぶ公金着服疑惑などとマスコミに報道されました。その後、9月13日に大阪府警は、診療費の還付理由が発生した事実などないのに、これがあるように装い、7月13日に患者の診療費還付金支払いを請求し支払い業務担当者から現金約90万円をだまし取ったとして、この元総合病院職員を詐欺の容疑で逮捕しました。今わかっているだけでも数年にも及ぶ公金着服の全容が解明されていないこのような状況で、独法化へ移行しました。
この間、日本共産党 かみの淳一市議が、環境経済委員会の中で、独法化問題、元総合病院職員の公金着服事件について、質問し追及してきました。

総合病院事務の脆弱な体制が慢性的につづく
もともと事務の体制不足の状態が慢性的につづく中で、さらに、総合病院 医事課の職員は、現在、医事課長、総括主幹が現在不在の状態で、別の課の課長が支援にきている異常な事態です。
また、医事業務・公金収納業務を管理する医事課が、その業務の進捗状況や課題などにたいして討議している、医事課会議での中身を、確認できるものが、平成25年の1枚の会議レジュメしか示せない。会議の報告書もない。つまり、病院の医事業務に関わることが討議できていたのかなど検証ができない状態でした。独法化前のこのような状況のもと、本庁から総合病院に職員を4名急きょ派遣させるなど混乱をきたした状態です。

本来の業務手順の逸脱が、恒常的になっていることが公金着服を拡大! ー 偽装請負 ―
そして、医事課に関しては、医療業務・公金収納業務を請負契約している委託業者を管理することが大きな業務の柱になりますが、実態は、今回、逮捕されている容疑者が、請負契約をしている委託職員に指揮命令しているなど違法な偽装請負になっていることを指摘。総合病院は、このような状態が続いていたことも一切わからなかったとの説明でした。今回の巨額の公金着服を許した土壌が形成されていました。

◆日本共産党東大阪市会議員団は、独法化に反対の立場ですが、少なくとも総合病院側が独法化をすすめている中での、巨額の公金着服事件です。少なくとも10月からの独法化は延期し、総合病院の体制を整備し立て直し、公金着服事件の真相究明と対策防止を最優先にすることを強く求めていました。
10月から地方独立行政法人市立東大阪医療センターに移行しましたが、引き続き市民の命と健康を守る視点でチェックが必要です。

9月28日 日本共産党 上原 幹事長
本会議「東大阪市立総合病院の地方独立行
政法人化移行への反対討論」

地方独立行政法人とは?
病院や大学など自治体直営から切り離し「法人」の運営とするために、地方自治体が出資して設立する法人です。市は10月1日より市立総合病院を地方独立行政法人市立東大阪医療センターにする準備をし、この議会で関連議案を出してきました。
これまで総合病院事務局は、平成24年5月の地方公営企業法全部適用に移行によって病床利用率の低下や課題となっている医師、看護師の確保などが可能になると説明してきましたが、実際にはこれが改善されずにきました。
しかも、この間起きた職員の公金詐取事件に関しては、1億5千万円のもの着服があったと報道されています。それにかかわって容疑者である職員が偽装請負となる法違反状態で日常仕事をしていたことが明らかになりながら、環境経済委員会審査の中で示した総括文には、これへの反省も総括ない。日常事務においても、会議の議事録すら無いため問題が起きても検証ができないことが明らかになり、これへの反省もありません。

地方独立行政法人化で懸念される問題
①これまでは単年度ごとに予算・決算が議会で審議され、議会や市民のチェックを受けることが出来ました。しかし、独法化になれば病院職員は議会に出席しません。例えば、この間起きた公金着服疑惑などの問題などは、議会がチェックできなくなるなど、議会や市民の監視が届かなくなる恐れがある。
②病院経営を独立採算で行うことになり、目標に向けてどう収入を確保するかが法人経営の命題になります。その結果、一層の過密労働や、採算面で厳しい診療科目があれば、縮小廃止されることも懸念がされます。
③また収入確保のために差額ベッド代などの値上げや、早期退院がより強められる懸念があります。
さらに独法化直後の来年4月に、隣の府立中河内救命救急センターの指定管理者受託を予定しています。この間、維新府政のもと府下の救命救急センターを次々と指定管理化され、府の第3次救急医療が後退し運営上も厳しくなっています。指定管理を受けた場合に、少なくとも赤字部分は、当面、大阪府が全額負担するとしても、府のいまの行革方針からみれば、その保障はどこにもありません。そうなれば、「法人」の経営を厳しい状況に追い込むことにもなりかねません。

自治体病院の使命とは
「都市部からへき地に至るさまざまな地域において、行政機関、医療機関、介護施設等と連携し、地域に必要な医療を公平・公正に提供し、住民の生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献すること」が「自治体病院の倫理綱領」 に明記されています。
日本共産党は、これまで述べたように課題が残され、未解決のままでの地方独立行政法人化は、この自治体病院の使命を果たすことに障害となる懸念が多分にあることを指摘し、独法化に反対しました。