市議団ニュース
2017年01月04日(水)  [市議団ニュース]

12月21日 東大阪市議会 平成28年 第4回定例会が閉会 花園ラグビー場の改修工事入札で「2者応札の一方は、予定価格オーバーで失格」「応札額が高値集中する不自然な結果」 - 予定価格の99.97% 超高値の落札!

12月21日(水)平成28年第4回定例会が閉会。①上程された議案に対する「討論」を日本共産党東大阪市会議員団 塩田副幹事長がおこなった。上程された議案は、すべて可決となった。 ②日本共産党東大阪市会議員団 内海団長が、大阪維新の会東大阪市議団「東大阪市議会政務活動費の廃止条例」の提案に対する「反対討論」をおこなった。「廃止条例」は、日本共産党を含む反対多数で否決された。 以下、日本共産党東大阪市会議員団の議案に対する「討論」(概要)と「東大阪市議会政務活動費の廃止条例」提案に対する「反対討論」(概要)です。

 

日本共産党 塩田清人 副幹事長の 上程されている議案に対する「討論」(概要)

反対する議案について、以下、その理由を述べます。

 

東大阪市立母子生活支援施設 条例を廃止する条例制定の件

1949年に戦後の母子世帯の生活自立支援に、本市においてスタートした母子生活支援施設の基本的な役割は今も変わりなく、母子世帯の多様な実態とニーズをふまえ、その自立支援を行うことにある。

今般、高井田ホームの老朽化と時代ニーズにそぐわない建物構造や機能をふまえて、新たな場所での発展的展開は、一定理解できるが、東大阪市立施設の役割や機能、行政責任は堅持すべきで、民間施設に委託化の方向は、市の責任を弱めてしまうことになりかねない。審議の中で明らかになったように、来年度4月以降の具体も決まっておらず、条例の廃止は賛同できない。時代のニーズに合った形で市立施設を残し、どういう方向で母子世帯の実態とニーズに応えていくか、丁寧に検討していくことが求められる。

平成28年度 東大阪市一般会計補正予算(第6回)

■「公立認定こども園等整備事業」は、市立石切保育所と市立孔舎衙幼稚園を廃園にして、新たに認定こども園を整備するための設計委託料。

審議の中で明らかになったことは、園の定員224名としているが、その根拠は現在の石切保育所と孔舎衙幼稚園の園児数を単純に確保するというだけ、Aリージョン地域における他の民間認定こども園を含む状況、就学前の子どもたちの実態やニーズなど、地域状況を深く分析検討したものでなく、単に計画をつくったのですすめるというものが明らかとなり、またしてもハード面を先行させるもの。

公立の認定こども園は、「再編整備計画」の中で、「就学前の質の高い教育・保育を提供する」としながら、この間、教育・保育カリキュラム案は示されが、今回の認定こども園においても園全体の教育・保育の質の確保・担保要件があいまいなままで、子どもの年齢や発達状況に応じた教育・保育の保障や障がい児、要配慮児童への教育・保育の保障、災害時の安全確保など園児が2倍というもとでどう対応できるのか。質の確保を言いながら説得力ある説明がされていない。 子どもたちの教育・保育の中身に照らして園の内容が検討された上で、設計委託が行われるべきで、反対。

■同議案の「花園ラグビー場整備事業」にかかる補正予算は、 以前から指摘しているとおり、ラグビー場の整備は必要最 小限にし、過度な設備投資を行わず、市民生活に係る予算配 分と執行を優先させるべきであることから反対。

東大阪市営上小阪東住宅建替事業に関する事業契約締結の件

市営上小阪東住宅 建替工事に伴って、設計・施工・工事監理・移転支援までの事業を一体のものとしてPFI事業者を選定し、契約議案として提案されたもの。

わが党は、市営住宅建替事業がPFI手法になじまないとして、この手法の選択に当初から異論を唱えてきた。 【※PFIとは、公共施設等の整備や維持管理、運営等を民間の資金や経営能力を使って行う、民営化の手法。】

理由は、

①平成26年2月に民間活力導入可能性調査から建設工事に着手まで、ほぼ3年間を要するなど事業開始から建設工事完了まで、大幅な期間を要する、早急に耐震対応の市営住宅を建設する課題になじまない。

②市営住宅は、必要な機能やデザイン等も含め利用者側の設計参加が求められる、市が責任を持って設計すべき。

③工事監理まで一体発注することで工事監理業務の独立性に課題が生じる。

④工事発注まで準備コストがかさみ、全体の事業費を圧迫するおそれがある。

⑤PFIのメリットであるVFM(バリュー・フォー・マネー)の効果や資金の平準化のメリットがあまり期待されない。 【※VFM(バリュー・フォー・マネー)とは、PFI事業のコストとPFIでおこなわなかった場合のコストを比較した指標。】

⑥入札市場の開放性が低いこと。などです。 さらに、PFIによる事業が、設計一体型ですすめる問題点等について、社団法人日本建築家協会は、2008年5月に提言を発表し、設計を分離する必要性を明らかにしています。 本来、市営住宅建設事業などは、住民に密着した事業であるがゆえ、地元業者の参入を促し、経済循環に資するようにすべきで、その点から42億円をこえる今回のPFI契約は問題。今後、市営住宅の建設に関わって、これらの課題を十分に検証し、PFI手法にこだわることなく選択することを求める。以上の立場から、この議案に反対。

東大阪市花園ラグビー場整備工事に関する請負契約締結の件

わが党のみならず他の会派からも厳しい指摘があった、今回の応札は2者のうち、大林組が予定価格を上回り失格。結果、予定価格の99.97%という超高値の落札、もう1者の清水建設と41億3,800万円余りのラグビー場整備工事の契約をするという案件。

全国市民オンブズマン連絡会議は、2006年に談合が摘発された福島県と名古屋市で、本命業者のみが95%以下で入札する「95%ルール」を談合する業界で作っていたことを明らかにした。今回はそのルールのように本命企業1者のみが予定価格とほぼ同額で入札し、もう1者が予定価格を超え、失格という形で、談合疑惑のある入札結果と酷似、高値応札の極めて不自然な入札結果。 市はこれまで「応札額が高値集中する」ことを「不自然な入札」と実施要領等で規定してきたが、今回は高値中の高値の応札を「不自然な入札」と認めない不遜な態度をとり続けた。今回の結果を不自然だとしないなら、どんなものを不自然というのか。

また2者とも「適正に積算した」としているが、落札者には「詳細見積書」資料の精査のみ、口頭による聴取もせず、失格者に「詳細見積書の提出」も求めず、聞き取りしただけだったことも、わが党の質問で明らかになった。 仮に2者ともに適正な積算なら、市の積算した予定価格が間違っている可能性も否定できない、その再検査・精査もしていない。「積算が適正だった」と一片の報告書だけで議事録もない。積算した建築部に財務部が確認すらしていない。 また「応札額が高値集中するなどの不自然な結果」があった場合等に開く「公正入札調査委員会」も開かず、調度課で落札決定し、市長に報告をしている。

一方、同じラグビー場の電気と機械設備工事については、それぞれ10者、6者が最低制限価格に並び、抽選で落札決定している。自然な形なら、最低制限価格でも受注企業の利益も労賃も経費も確保される、競争性があればこれに近づくことになる。もし今回の整備工事について最低制限価格で落札していたなら、約4億5千万円余りの入札差金として節約できたかもしれない。

「なぜ高値集中になったのか?」「市と業者の見積もりに問題がなかったのか?」「なぜスーパーゼネコンである大林組が予定価格を上回り失格となる札を入れたのか?」など、不可解な点が多く、入札結果が全国市民オンブズマン連絡会議の指摘する談合疑惑にかかるやり方そのものであり、入札事務も適切に行われたとは言いがたい。このような対応を抜本的に改め、今後、電子入札のあり方や入札事務のあり方を根本的に改善する必要がある。以上から反対。 改めて基礎自治体の果たすべき役割、立脚すべき立場が問われている、地方自治法等に基づき 住民の奉仕者として市民福祉の向上、及び職員倫理の向上とその実践に、基礎自治体及び職員が心砕いて仕事に邁進することを求める。

 

日本共産党の「請願」についての態度
(1)◆よりよい子育て環境の実現を求める請願の件 ◆公立の就学前教育・保育施設再編整備計画の撤回を求める請願の件 ◆全図書館の指定管理者制度 移行及び 新東部図書館と新永和図書館建設計画の再検討を求める請願の件 ◆小学校普通教室への空調設備の整備に関する請願の件については、採択すべき。
(2)◆金岡保育所の廃園及び集約の延期を求める請願の件についても、採択すべきであるという立場であり、継続審査に付すことには反対。

 

 

日本共産党 内海公仁 団長の 大阪維新の会市議団 提案の「東大阪市議会政務活動費の廃止条例」に対する反対討論(概要)

冒頭、日本共産党東大阪市会議員団として、お詫びさせていただきます。東大阪市選出のわが党前府会議員が領収書の自署という手法で政務活動費を不正に着服していた事件が明らかとなった。市民の信託に応えて不正・腐敗を許さない立場で議員活動に専念すべき日本共産党議員として、相容れない行為で、党として調査し事実を明らかにした上で、直ちに議員辞職、党の規約に基づいて除名処分をした。事態を深く反省し、市民の期待に応えるため、原点にたち返り全力で社会的、政治的役割を果たすため奮闘する決意を申し上げます。

さて、提案された条例案について、提出者は、平成27年12月議会以来、毎回政務活動費問題で、条例提出を繰り返してきた。最初は「廃止条例」、平成28年3月議会、6月議会は「一時停止条例」、9月議会と今回は「廃止条例」と、その都度変わっている。提出者の本心がどこにあるのかが問われる。平成28年3月議会の松平議員の質問に対する答弁では、提案者である維新の会の岸本議員の答弁で、はじめは、「廃止が目的であり、公約である」と明確に答弁しておきながら、その後の質問の中で大坪議員が答弁に立ち「一旦停止して、再開することも否定していない」と答弁、不一致が生じた。その後も「公約では廃止」と言ったり、「今回の提案は停止」というなど大混乱している。提案者の真意がつかめず、今回の廃止条例も、その後「再開」する事を想定したものか、未来永劫「廃止」したままなのかはっきりしない。

さらに、平成28年6月議会でのわが党の上原議員の質問に対して、提案者は未だに回答を示していない。その中身は、二元代表制に対するおおさか維新の会の考え方に関する態度。わが党は、政務活動費問題を議論する前提として、政務活動費が憲法と地方自治法の観点からどう位置づけられているものか、その位置づけから見てふさわしい活用や運用になっているか、有権者や市民に対して責任を持って説明することの出来る支出になっているかを常に大切にしてきた。その問題の一番要が、二元代表制の問題。地方自治にあっては絶大な権限をもつ執行機関の長にたいして、同じく直接選挙で選出された議会が、議決権と調査権を活用し、執行機関とその長に対して監視と抑制を健全に発揮させることを保障した二元代表制は、民主的地方政治の基本。

おおさか維新の会は、大阪都構想への疑問についての回答というWeb上で「今の大阪の場合は地方再生が経営課題であり、権力は集中させるべきで、一元代表制がよい」などと公然と示している。これは、地方政治の根幹に関わる二元代表制を否定する態度で、その発想からすれば、議会の機能と権限を発揮する制度上の保障のひとつ政務活動費について、同じテーブルで議論ができないことになる。その問題を問いただしても、維新の議員の皆さんは、未だに見解を明らかにされない。このもとで政務活動費の「廃止条例」をくり返し提案する自体が無責任で、議会制民主主義を否定する態度。

必要なことは、東大阪市議会がこの間努力し到達した政務活動費に関するマニュアルやその運用に外部委員も含めたチェック体制を整えてきた。それが今日、市民的に社会的に妥当なものであるか、お互いに真摯に議論し、より質の高い運用に向けた改善を重ね、透明性と公開性を高めるための努力を積み重ねること。そのための協議をおこなうべき。その事に消極的なまま、安易に「廃止」する条例は、議会制民主主義と憲法の原理に反するので、明確に反対。