市議団ニュース
2016年10月17日(月)  [市議団ニュース]

「本会議」での日本共産党 塩田清人 副幹事長の個人質問の主な質問の概要です。

子どもの貧困問題に対する対策の強化を
子どもの貧困問題が社会問題化し、2014年に厚生労働省がまとめた報告では、日本の相対的貧困率16.3%、6人に1人の子どもが貧困状態です。ひとり親世帯においてはOECD諸国トップの54.6%。本市においても、今年度4月1日時点で19歳以下の子どものいる生活保護世帯数は2,163世帯、生活保護世帯数の14.8%を占め、うち、ひとり親世帯の生活保護率は10.7%。また小中学生がいる世帯の就学援助率は昨年度24.17%、府下平均20.0%に比しても高く、子どもの貧困の一端がうかがえます。2014年1月に『子どもの貧困対策法』が施行され、全国的に子どもの貧困に関わる実態調査が行われ、学習支援や子ども食堂などの取り組みが、公・民ですすんでいます。

子どもの貧困について、本市の実態、対策、政策上の課題など、認識をどのようにもっているのか。 【立花副市長】子どもの貧困対策に関連する施策は各部局で取り組んでいる。本市の状況は、経済面、進学や就職、健康面において、地域からの孤立などの課題を抱えていると考えている。
大阪府が28年度実施した「子どもの生活実態調査」に13市町が参加していますが、本市は参加していません。なぜなのか。 【立花副市長】本市を含む数市に要請がなく、情報が得られず、参加を見送った。
今年第1回定例会のわが党の質問で「検討したい」としていた、本市の「子どもの貧困問題にかかる実態調査」を早急に行うべき。 【立花副市長】大阪府、他市で取り組まれた内容も参考にし、本市の状況を把握する必要がある。
本市が2年間取り組んでいる「学習支援」の評価、今後の取り組みの拡充について明らかにしてください。
【福祉部長】学校の宿題等を使っての学習指導を基本とし、本人の学力や集中力に応じた対応等を行い、中学生のやる気を引き出せたことなどは、事業による一定の効果と実感している。しかし、市内1箇所の開催と短期間であったため、学力向上までは至らなかった。
今年度は7月から通年で開催場所2箇所とし、2箇所を毎週交互に開催している。また、中学生の夏・冬休み期間は開催日数を追加し、来年3月まで合計約40日間の実施を予定。
検討をすすめたいとしていた入学準備金支給の前倒し、援助額の拡充について、どう検討・改善を図るのか。 【学校教育部長】支給時期の変更は、担当課にて検討をすすめている。支給額の増額は、財政状況等を勘案し検討する必要がある。
第1回定例会で「具体の検討をすすめる」としていた「子どもの貧困」問題についての総括的な所管部署はどこか。合わせて「総合的な相談窓口」の設置と、関係民間機関とも連携した、支援ネットワークの具体化を図るべきですが、答弁ください。立花副市長】総括的な部署は決まっていない。困難を抱える家族や子どもと接して支援を行っておられる関係機関などの意見も聴きながら、本市の子どもの貧困対策をまとめていきます。
わが党はこれまで相談や支援ネットワークの仕組みの他、子ども食堂、就学援助の拡充、制服等のリユース化等、具体提案してきましたが、引き続き「東大阪モデル」にふさわしい本市の取り組みや仕組みづくりを強く求めるものです。

公立保育所・幼稚園の再編整備計画の抜本的見直しと待機児童解消
公立保育所・幼稚園再編整備計画のもと、来年度から3つの公立認定こども園が開設される予定。先の定例会で「市立認定こども園条例」が可決、2つの公立保育所、8つの公立幼稚園が廃止されますが、条例は実施日さえ不明。金岡保育所ではこの強引な対応に納得できないと保護者の請願署名活動が続けられており、その数は一カ月ほどで5,000名を超える状況と仄聞します。認定こども園の建設・改修工事がすすめられていますが、園サイズが大きなもとでの保育・教育は「高い質の提供」とは相いれないばかりか、公立園を求めるニーズ・需要の上でも問題があり、またリージョンセンター地域を整備地域としたことから通園区域が広く危険や負担が大きくなる問題等は、置きざりとなったままであり、見切り発車的な計画の推進です。

問題が山積したままの公立認定こども園は今からでも見直すべきです。また29年度開設の公立認定こども園の保育内容などの問題の改善をどう図るのか。 【子どもすこやか部】子ども・子育て会議で公・民の役割を整理し、公立の教育・保育施設の方向性を検討、パブリックコメントの意見も踏まえ、平成27年5月決定されました。公立認定こども園の次年度4月開園に向け、進んでいる状況です。また、専門的見地からの創意工夫を凝らして、室の高い教育・保育を提供します。また、保護者の不安解消に向け、定期的な保護者説明会を実施しており、今後も丁寧に対応していく。
本市は認定こども園と小規模保育事業等で待機児童の解消を図るとしていますが、27年度、28年度の待機児童は認定こども園と小規模保育事業等で、解消がどう図られたのか。 【子どもすこやか部】待機児童を含めた未入所児童「ゼロ」を目指しています。平成26年度当初の未入所児童763名、待機児童284名。平成26年度当初と比較して、全体で未入所児童数401名、うち待機児童157名減少しました。
本市の待機児童の約80%は、0,1,2歳児。認定こども園、小規模保育事業は一定の解消策になっても、0歳児以外は各年齢とも継続園児のもち上がりが多く、認定こども園と小規模保育事業では、待機児童の抜本解消にはならない。

抜本的な対策として地域の実情をもとに、認可保育所の整備による待機児童解消をすすめるべきです。 【子どもすこやか部】国が通知しました既存の民間保育施設での受入れ児童数の弾力的運用の拡充、認可定員の増員への協力を促し、受入れ児童数の確保に取り組みます。
29年度の再編整備計画の見直しの視点とその具体手法について、どのように考え、いつからすすめていくのか。子どもすこやか部】中間見直しで実施するニーズ調査により、子ども・子育て会議に諮り、見直し(案)を作成します。ニーズ調査の項目は、国より参酌基準を示すとの情報があり、実施時期は、国の動向を踏まえ検討します。

小中一貫教育について
本市は7/15付の市政だよりで「小中一貫教育」を31年度より全中学校区でスタートさせることを明らかにしました。教育委員会は、「施設分離型」で、①中一ギャップの解消 ②確かな学力の定着 ③郷土に誇りをもったグローバルな人材の育成(称してグローカルな人材) の3点を打ち出しています。

示された3点は、なぜ小中一貫教育でなければならないのか。その根拠、必然性を明らかしてください。 【教育次長】小学校6年、中学校3年の6-3の義務教育体制ができた70年前と比較し、現在の児童生徒は2年早く成熟している。そのため小学校5・6年生から中学校1年生にかけて、子どもたちを取り巻く環境の変化などに伴いこれまで以上に小学校と中学校で一貫した指導方針が必要となってきます。
「中一ギャップ」のとらえ方で、我が国の教育政策に係る調査研究を行う機関である文部科学省の「国立教育政策研究所の生徒指導・進路研究センター」が生徒指導リーフ・「中一ギャップの真実」と題した内容によると、『「中一ギャップ」という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない。」』としています。また「生徒指導リーフ」の中では「中一ギャップ」という語が、『「小6から中1でいじめや不登校の数が急増するように見えることから使われ始め、今では小中学校間の接続の問題全般に「便利」に用いられている」と指摘。『中1になる段階で突然何かが起きるかのようなイメージや、学校制度の違いという外的要因が種々の問題の主原因であるかのようなイメージを抱くと、問題の本質や所在を見誤り、間違った対応をしかねない』として『「中1ギャップ」という言葉のもつ意味や安易な用い方をするべきでない』としています
市教育委員会は、「中1ギャップ」についてのこの指摘をどう理解し、3つのねらいの一つとしているのか。本市の中学一年生のいじめや不登校の実態が、この文部科学省の機関の指摘を絶対的に覆らせるほどの状況があると認識しているのか。 【教育次長】小学校から中学校へ進学するにあたり、全ての子どもが、それぞれの学校生活における環境の変化について違和感を感じる経験をいたします。それらの違和感などから生じる不安等が一部の「問題行動」の要因の一つとしても考えられる。そのため、小学校からの連続性に着目し、一貫性のある生活指導等を推進することで、全ての子どもにとって、中学校での問題の解消につながると考える。

日本共産党東大阪市会議員団は、8・9月市内の各小中学校を訪問し、小中一貫教育について校長や教頭先生らと話をさせて頂きました。少なくない方が共通して言っておられるのは、実際にすすめるとなった時の不安や効果上の疑問、教職員や保護者、地域との意思疎通の不十分さなどです。現在の小学校の普通教室へのエアコン設置など、教育設備環境の改善や少人数学級の拡充などにこそ、力を注ぎ教育内容の充実を図るべきであると考えます。 ●市政だよりなどでも小中一貫教育のメリットばかりが強調される形となっていますが、デメリットや課題はどうとらえられ、克服・解決されていくのか。その検討の仕組みなども含めて明らかにしてください。教育次長】本市「施設分離型」の場合、教員や児童生徒の移動が必要となるため、日常的な児童生徒や教員の交流を行うには、時間と工夫が必要です。また、取組みを進める中で、様々課題が生じてくることも予想され、それらに対応する仕組みづくりも含め、検討する。